カラル遺跡 世界遺産登録
2009年6月28日、ペルーのカラル遺跡がユネスコ世界遺産の文化遺産に登録されました。ペルーでは11個目の世界遺産です。
カラルは、南米大陸最古の文明と言われています。(紀元前3000年~1800年)
4大文明に匹敵する古さで、歴史の教科書が書き換えられるかも?
ピラミッド建造物や円形広場を持つ聖なる都カラル。
現在も発掘が続いています。
カラルと言えば・・・
私がカラル遺跡を訪ねたのは2008年1月のこと。
夫と義姉一家が一緒でした。
義父のン十年もののトヨタ車を借りて出発。
途中寄り道したり、また、タイヤがパンクするというハプニングもあり、10時頃出発したにも関わらず、
パンアメリカンハイウェイの184キロ地点に到達したのはすでに3時頃…
「ここまでくればもう少し!」と思ったのは、甘かった。
カラルへの道を示すのは、見落としそうな地味な看板。
看板があまりに地味なため、念のため「ここを曲がればいいんだよね?」と地元の人に確認。
そこを曲がればカラル遺跡があると思い込んでいた私たち。
さあ、いよいよカラル!と思って曲がったその道は…
「えっ…、これ…?」思わず絶句するほどの悪路。
「未舗装」とか「砂利道」とか生易しいものではなく、大きな石がごろごろしていると-んでもないでこぼこ道。
出せる速度は最高でも20キロ。
しばらく走ったところで地元の人に出くわしたので尋ねてみたところ、
「カラル遺跡はここから車で1時間」とのこと。
「1時間!?この道を!?ずっとこんな道!?まさか…」
しばらくすれば道路事情が良くなるのではとの期待はむなしく、
また、地元のおじさんの情報はデマかもしれないとの期待もむなしく、
結局遺跡まで延々そんな道でした。
おじさんの情報も全く正しく、カラル遺跡到着は1時間以上後のことでした。
ペルーは、リマの郊外や田舎へ行けば、もちろん未舗装の道もあるけれど、比較的道路事情は良い国。
後にも先にもこんな悪路を経験したのは初めて。
後に確認したところ、悪路は23キロありました…
出せる最高時速が20キロなので、1時間かかるというわけ。
さて、やっとの思いでカラル遺跡の駐車場(=石ころだらけの河原)に到着。
さらにそこから、大きな石だらけの河原を通り、川を渡り(写真の右に見える木の橋を渡ります♪)、
さらに小川にかかる丸太を渡り、崖をよじ登ってやっと遺跡(のはじっこ)にたどり着きます。
崖をよじ登った場所から振り返るとこんな景色。
スペ川が流れ、緑も。
でも、豊かな田園風景というほどではない。
川向こうの車が停まっている場所が駐車場。
番をしてくれる人がいるので、車を停めておいても安心なのはありがたいです。
番人にはもちろんチップを支払います。
遺跡の入口は、ここから数分だらだらと砂漠の道を歩いたところ。
カラル遺跡の見学は、ガイド付きで1時間ほど。
ゆっくり見て回っても、1時間半もあれば十分かと。
高さ20メートルほどのピラミッド。これが一番大きいものだったと思います。
このタイプのピラミッドがほかにもいくつかあります。
ピラミッドに登ることはできません。
円形広場
カラルの中心?
荒涼とした場所ですが、サボテンはたくましく生えていました。
古代のピラミッド郡は、興味深いものではありますが、
荒涼とした場所にある砂色一色の遺跡郡は、マチュピチュなどに比べるといかにも地味…(私には)。
アクセサリー類や、骨で出来たケーナなど、興味深い出土品もいろいろあるそうなのですが、ここに展示はありません。
遺跡内にトイレはありますが、水は出ませんでした~。
ところで、カラル遺跡に行くのにそんな悪路しかないのか?というと、
実はあったのです。
もうちょっと(だいぶ?)ましな道が。
しかも駐車場も遺跡の入口のすぐ近くにあるではないですか。
それなのに、なぜわざわざとんでもない悪路が公式道路としてHPに紹介されているのか?
ひとつは、カラル遺跡はリマから184キロ地点、というのが売り?なため
パンアメリカン・ハイウェイから184キロ地点でカラルに至る道を
公式道路にすることにこだわっているらしいです。
(でもそこから20キロ以上あるんですけど…)
また、公式道路が通っている場所がスペの町にあたるため、町の発展のために?そこを通したいという
政治がらみの思惑などがからんでいるようで…
・・・はっきり言って、迷惑です・・・
もうひとつの道は、パンアメリカンハイウェイの159キロ地点にあり、そこからカラル遺跡までは24キロです。
(こっちのほうが近い…)
地図を見ると、「ちゃんとした道」とわざわざ書いてありました。
HPには、悪路が公式道路、別の(ちゃんとした)道は「雨が降ったとき」利用するように書いてあります。
公式道路は、雨が降ったら一部(かなり?)水没するものと思われます。
ちなみに、カラル遺跡に来てから他に「ちゃんとした道」があることに気付いても、
帰りにそちらの道を利用することは不可能です。
悪路とは道がつながっていないので。
と、いうことで、必然的に帰りもまた1時間以上、あのとんでもない悪路を
帰るはめに。
すでに夕方だったので、「日が暮れたら真っ暗になってしまう」と気が気ではありませんでした。
車高の低い乗用車の底面にはバンバン石が当たるし、
途中大きな石に乗り上げた拍子に車の下側の部品?が落ちてしまうし(長さ1メートル以上、幅30cmくらい…)、
「池?」と思えるほど道幅いっぱいの大きな水溜りに遭遇し、
「エンジンに水が入って、ここで動けなくなったらどうしよう(遭難だ~)」とか
不吉な思いが頭をよぎるし。
真っ暗になる前に、なんとか悪路を抜けたときには本当にありがたい気持ちでいっぱいになりました。
夕方にはリマに帰ってくる予定が、家にたどりついたのは10時頃でした。
無事に帰って来られて良かった~。
お義父さ~ん、車を壊し、泥だらけにしてごめんなさい~。
修理に出した結果、おかげさまで、車は無事でした。
結局私にとって、「カラル」で印象的だったのは、遺跡よりも「カラルへの道」でした。
あの悪路、乗用車でなくジープなどで行けばけっこう楽しいかもしれませんね。
道の両側はとうもろこしなどの畑が広がり、真っ赤な小鳥を見かけたり、
牛や馬に遭遇したりと、田舎の風景が続く道なので。
今になってみれば、「写真撮っておけば良かったなあ」と思いますが、
その時はそんな気持ちの余裕はありませんでした。
(運転してたのは夫なんですが)
カラル遺跡、おそらく二度と行くことはないだろうなあ…
同乗の義姉は、ずっとロザリオを握り締めて無事に帰れるよう神様にお祈りしていたそうで、
後でお守りにと、そのとき持っていたロザリオを私たちにくれました。
なので、カラルまでのでこぼこ道を旅したロザリオは、今我が家のお守りになっています。